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桜桃忌 パンドラの匣(はこ)
6月19日は「桜桃忌」です。昭和23年(1948)6月13日に小説家太宰治が愛人・山崎富栄とともに玉川上水で入水自殺をし、遺体が発見されたのが19日でした。6月19日は太宰の誕生日でもあり、太宰治の好物で、死の直前に書いた短編「桜桃」にちなみ、太宰と同郷で交流のあった作家・今官一により「桜桃忌」と名付けられました。墓のある東京都三鷹市の禅林寺には、ファンにより多くのさくらんぼが供えられます。
『走れメロス』『斜陽』『人間失格』をはじめ、数々の名作を残した太宰ですが、1946年の長編小説作品に『パンドラの匣』という作品があります。療養所で、結核と闘っている20歳の青年から、その親友に宛てた手紙という形式で綴った物語で、 読者・ファンであり、文通をしていた木村庄助が、病苦のため22歳で自殺をした後、遺言によって太宰に送られた病床日記がもとになっています。
木村氏が昭和16(1941)8月~年末まで入院していたのが「孔舎衙健康道場」という療養施設で、東大阪市の近鉄石切駅から北側に広がる日下山(くさかやま)と呼ばれる山林にありました。現在その跡地は、小説の題に因んでつけられた「パンドラの丘」と呼ばれ、「孔舎衙健康道場と太宰治」という」説明の碑が建てられています。梅雨のこの時期にはアジサイが綺麗に咲き誇ります。